足関節背屈制限の因子で腓腹筋とヒラメ筋しか答えられなければ、かなり危険です。
他にも制限因子は多くあり、今回はそれを一挙大公開します。
臨床で、足関節の背屈制限はよく見られますよね。
片麻痺なら下腿三頭筋が問題になることが多いですが、整形外科疾患では腓腹筋やヒラメ筋より、もっと他の軟部組織が問題になることが多いです。
それではひとつずつ解説しましょう。
足関節背屈運動のメカニズム
まずは、足関節背屈が起こるときの骨の動きを確認しましょう。
足関節は脛骨と腓骨、距骨から構成されます。
関節は遠位脛腓関節と距腿関節です。
背屈に伴い、腓骨は挙上・外旋し、遠位脛腓関節は開大します。
距骨は後方に滑りながら距腿関節は背屈していきます。
腓腹筋とヒラメ筋の制限因子
足関節背屈制限の因子で、まず思いつくのが腓腹筋とヒラメ筋ですよね。
腓腹筋とヒラメ筋の違いは、二関節筋か単関節筋です。
この2つの筋を鑑別するには、膝を伸展位で背屈を行うのか、膝を屈曲位では背屈を行うのかで、評価することができます。
膝伸展位で背屈制限が増加すれば、腓腹筋が問題。
膝伸展位と屈曲位で背屈可動域が変わらなければ、ヒラメ筋が問題もしくは、腓腹筋やヒラメ筋以外の制限因子が考えれます。
長母趾屈筋と長趾屈筋の制限因子
長母趾屈筋や長趾屈筋も足関節背屈の制限因子になります。
足関節果部骨折などの後は、下腿三頭筋の制限より長母趾屈筋などが制限因子になることが多いです。
長母趾屈筋や長趾屈筋の走行をみると、背屈の制限因子になることがわかります。
筋が距骨の後方を走行しているため、筋肉の柔軟性が低下していると距骨の後方への辷りを阻害し、結果として足関節背屈の可動域が制限されます。
長母趾屈筋と長趾屈筋の鑑別は、両筋の付着部を確認します。
長母趾屈筋は第1趾、長趾屈筋は第2〜5趾に付着します。
つまり、背屈に伴ない第1趾を背屈させ制限が増加すれば長母趾屈筋が制限因子、第2〜5趾を背屈させ制限が増加すれば長趾屈筋が制限因子、両方とも足関節の背屈可動域が変わらなければ、両筋肉は制限因子ではないという評価ができます。
腓骨筋による制限因子
腓骨筋の作用は外反(回内)方向に働きますよね。
この腓骨筋の柔軟性が低下していると、足関節背屈+回外の可動域が制限されます。
しかし、腓骨筋には長腓骨筋と短腓骨筋がありますよね。
制限因子をしぼるには長腓骨筋と短腓骨筋を鑑別する必要があります。
ポイントは筋の付着部です。
長腓骨筋は第1中足骨、短腓骨筋は第5中足骨に付着します。
つまり、長腓骨筋は第1趾の動きに関与するということです。
足関節背屈+回外に加え、第1趾を背屈させるか、させないかで長腓骨筋なのか、短腓骨筋なのか、制限因子を鑑別することができます。
伸筋支帯の制限因子
伸筋支帯は足関節の前側になりますよね。
足関節の骨折などをするとこの部分も損傷することがあり、治る過程で癒着をすることがあります。
足関節が背屈するときに、前側の関節包や脂肪体が動きますが、伸筋支帯の動きが悪かったりすると、前方でインピンジメントをお越し痛みが生じることで背屈制限につながることがあります。
足関節背屈制限は後方の組織だけでなく、前方の組織が影響で生じることもあります。
その他の制限因子
足関節背屈の制限因子には、他にも後脛骨筋や屈筋支帯、関節包など、まだまだあります。
さまざまな因子の仮説を組みあせて評価することで、制限因子を限定することができ、治療対象が明確になります。
背屈制限を改善するために、下腿三頭筋ばかり伸ばしていても、下腿三頭筋が問題でなければ無意味ですよね。
そのためにはしっかりと評価をすることができます。
最近発売されたこちらの本には、その制限因子や評価方法が載っていたり、背屈以外にも足部の評価やスポーツ復帰の基準、足部の機能解剖学なども載っています。
1800円の本でありながらも、しっかりと書かれているので、値段以上の本ですね。
足部を勉強したい方は、読んでみるよ良いおすすめの1冊です。
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まとめ
今回は足関節背屈制限の一部をご紹介しました。
しっかりと問題点を見つけ、治療対象を明確にすることで、治療効果が出やすくなります。
まずはしっかりと評価できるようにしましょう。