患者さんから情報収取をしますが、目的や重要性を意識し最大限いかせていますか。
”情報を活かす5つのポイント” や ”必ず収集すべき13項目”もご紹介します。
情報収集はリハビリを行う上でとても大切で、学生のみなさんはピンとこない方が多いと思いますがかなり重要となります。
セラピストでもピンとこない方は非常にもったいないです。
今回は情報収集の重要性や活用方法、必ず情報収集すべき10の項目をご説明します。
必ず情報収集すべき13の項目とは?
必ず情報収集すべき項目は13個あります。
この項目をベースにさらに情報収集する項目を増やすとよいでしょう。
〜13の項目〜
・年齢
・性別
・現病歴
・既往歴
・家族構成
・キーパーソン
・介護保険
・家屋環境
・入院前のADL状態
・入院前の歩行状態
・利用していたサービス
・家族の健康状態
・家族の協力具合
この10項目は基本となるため、しっかりと聴取しましょう。
これをベースにさらに情報を集め、集めた情報をもとに退院に向けたゴール設定などを行っていきます。
情報収集の目的や重要性とは?
評価をして患者さんの身体機能を評価し、問題点や良い点を調べますよね。
その調べた結果を元にアプローチし、退院に向けリハビリを行っていきます。
情報収取も評価の一つで、患者さんの身体機能以外のバックグラウンドなども評価します。
特に高齢者の場合はバックグラウンドが重要となります。
なぜ重要なのかわかりますか。
若い方であれば、身体機能に大きな改善が見込めます。
しかし高齢者の場合、身体機能の改善は見込めたとしても大きな改善は見込めないことが多いです。
獲得できた身体機能だけでは自宅退院できないケースもありますが、環境調整やサービスの利用を行うことで自宅退院できるようになるケースも多くあります。
身体機能で回復が見込めなかった部分は、他の何かで補わなければなりません。
その何かを情報収集を元に見つけるのです。
情報収集の使い方とは?
では、情報収集から得た情報をどのように使っていけばいいのでしょうか。
次の5つのポイントについてご説明します。
[icon image=”point1-1-g”]現病歴,入院前のADLや歩行状態の情報
現病歴は必ず確認しますよね。
みなさんは現病歴からどのようなことを分析しますか。
ポイントは受傷場面をイメージすることです。
イメージすることで、その方の元々の身体能力がある程度予測できます。
例えば、高齢者でも自転車で転んで骨折した方であれば、身体能力は高いため目標とするゴールは高くなることが多いです。
反対に、自宅内でトイレまで伝い歩きをしていて転んで骨折した方であれば、元々の歩行レベルが低いため獲得まで大変になることが予測されます。
このように受傷機転から入院前の身体機能の状態や活動範囲を予測することができます。
[icon image=”point1-2-g”]既往歴
既往歴はリスク管理を行う上でとても重要です。
たとえば、糖尿病が既往であれば運動時に低血糖を起こすリスクがあったり、脳血管疾患があれば、麻痺などの影響で転倒リスクが高いこともあります。
COPDなどの呼吸器疾患や心疾患などがある場合は、バイタル変動に注意しリハビリを行わなければなりません。
常にリスク管理をしながら、評価や治療を行うようにしましょう。
[icon image=”point1-3-g”]家族構成,キーパーソン,家族の健康状態や協力具合
家族構成やキーパーソンを知ることで、誰が協力してくれるのかわかります。
協力者が働いている場合は、仕事の時間帯も把握しましょう。
仕事等で協力を得られない時間帯があれば、サービスなどを利用しカバーすることがポイントです。
さらにご家族の健康状態も把握することがポイントです。
『なぜ家族の健康状態まで把握する必要があるの?』と思った方もいると思います。
患者さんのなかには、元々夫や妻の介助をしていた方も多くいらっしゃいます。
そのため退院後も夫や妻の介助をするといった方も少なくありません。
近年、老々介護が増えてきているため、このようなケースも増えてきているのが現状です。
[icon image=”point1-4-g”]介護保険,利用していたサービス
介護保険やサービスの把握も重要です。
介護保険は申請してから認定が降りるまで約1ヶ月かかります。
また介護保険はご家族が役所まで申請に行くことが基本のため、早い段階で介護保険の所有の有無を確認し、介護保険を持っていない場合は申請を促すべきです。
介護保険がないとデイサービスやヘルパーと行った介護保険分野のサービスを利用することができないため、必ず把握しておきましょう。
元々介護保険を持っていた方が、今回の入院で症状が重症化してしまった際は、区分変更といって介護度の変更を行うことも可能です。
入院前にサービスを利用していた方は、退院後のサービス利用について再度検討したほうが良いです。
入院し、身体や活動の状況に変化が合った場合は、サービスの見直しをし適切なサービスを利用することがよいでしょう。
[icon image=”point1-5-g”]家屋環境
家屋環境をしっかりと聴取していますか。
ベッドの有無や手すりの有無など基本的なことは聞くと思います。
この他に『玄関前の段差の有無』や『段差の高さ』なども把握できていますか。
自宅に入る前には必ず玄関を使うため、玄関に行くまでの情報もしっかりと把握しておきましょう。
なかには玄関前に数段の段差があり、手すりが設置していないご自宅もあります。
このように自宅内だけでなく、その他の環境も把握しておくことがポイントです。
もう一つは段差の高さもしっかりと把握しておきましょう。
リハビリ室の段差が登れたとしても、自宅の段差の方が高いこともあります。
自宅の環境に合わせた状態でリハビリを行うべきであるので、段差の高さなど細かく聴取するとよいでしょう。
家屋調査で必ず知っておくべき重要な7つのポイントはこちらです。
まとめ
情報収取はとても重要な評価の一つです。
自宅退院を目指す場合は、しっかりと情報収集し患者さんがいかに楽に生活できるか調整する必要があります。
みなさんも、もう一度情報収集について見直してみてはいかがでしょうか。