学生に限らずセラピストも必ずHOPEやDemand(デマンド)、Need(ニーズ)を確認しますが、しっかりと設定できていますか。
この3つを的確に設定する方法や捉え方をご紹介します。
リハビリを行う上で、患者さんのHOPEやDemand、Needを確認しますよね。
学生さんはこの部分をあまり重要視していないことが多いですが、かなり重要です。
それではHOPEやDemand、Needがなぜ重要なのかご説明します。
HOPE・Demand(デマンド)とは?
HOPEは患者さんの希望や望みです。
最近では、HOPEではなくDemand(要望)を使うことが増えてきています。
私が学生のときはHOPEでしたが、最近の学生さんはDemandを使うようになっていますね。
ポイントは、どちらも患者さんの主観的な項目になります。
『痛みをなくしたい』
『山登りがしたい』
『立てるようになりたい』
『しびれをなくしたい』
『歩けるようになりたい』
などなど、
このように患者さんの主観的な訴えが、『HOPE』や『Demand』にあたります。
患者さんに希望や要望を聴くことは、とても重要な事です。
患者さんの主観的な訴えを聴くことで、患者さんが考えている本質を知ることができます。
リハビリは患者さんとセラピストの二人三脚で行っていくため、患者さんとセラピストのベクトルがズレていると、よりよいリハビリを提供することはできません。
しっかりと患者さんとコミュニケーションを取り、HOPEやDemandを確認しましょう。
HOPEやDemandの注意点
HOPEやDemandはとても大切ですが、あくまで主観的という点がポイントです。
HOPEやDemandは確認しますが、これがゴール設定となるわけではありません。
HOPEやDemandがゴールと一致するケースもありますが、あくまで希望や要望であることを忘れないようにしましょう。
主観的な訴えも重要ですが、最も重要なのは客観的にみることです。
そのためNeedがとても重要な項目となってきます。
Need(ニーズ)とは?
NEEDを訳すと“必要性”です。
ニーズのポイントは、客観的な項目であることです。
HOPEやデマンドは主観的でしたが、ニーズは客観的でありとても重要となります。
ニーズは患者さんが生活する上で必要となることを設定します。
簡単に例を一つ挙げましょう。
『家は団地の2階なので階段が15段あります。今は杖で歩けているので生活はできますが、退院のときは絶対に杖なしで歩けるようになって帰りたいです。』
どれがHOPEやデマンドで、どれがニーズか考えてみてください。
✓HOPEやデマンド ⇒ 杖なしで歩きたい。
✓ニーズ ⇒ 階段昇降獲得
このようになります。
なぜこうなるのか、わかりますか?
杖なしで歩きたいというのは希望であり、この場合は最優先事項ではありません。
杖歩行でも生活ができるのであれば、杖なし歩行は退院後にリハビリを継続して獲得を目指すのでもよいでしょう。
患者さんの希望を叶えてあげるのも重要なことですが、しっかりと優先順位を考えることがポイントです。
では、なぜ階段昇降獲得がニーズとなったかわかりますか。
自宅は団地の2階であり、家に入るには必ず階段を使う必要があります。
階段昇降ができないと、いくら杖なしで長い距離が歩けたとしても自宅に帰ることができません。
このように患者さんの生活をしっかりとイメージし、何が必要なのか客観的に評価し見極めることが重要です。
まずは患者さんが退院して生活できるために、なにが最低限必要なのか考えるようにしましょう。
この必要なことがニーズと関連してきます。
そのため、ニーズとゴール設定に関連性があるということもポイントです。
Need(ニーズ)の設定方法とは?
ニーズを設定するには、まず患者さんから多くの情報を聴くことがポイントです。
どうすれば退院できるのか、自宅の状況や家族状況などなど、さまざまなことを聞いてみてください。
ゴール設定や家屋環境の考え方については、こちらをご参考にしてください。
参考にしてみるとよいでしょう。
✓ゴール設定が的確にできる5つのポイントはこちら!
✓家屋評価で超重要な7つのポイントはこちら!
得た情報をもとに、希望・要望ではなく患者さんに何が必要なのか見極めニーズを設定するしましょう。
このニーズがズレてしまうとリハビリの方向性もズレてしまうため、とても重要な項目となります。
しっかりと考え設定しましょう。
まとめ
HOPEやデマンド、ニーズについてご説明してきました。
HOPEやデマンドは主観的、ニーズは客観的なものであり、“患者さんにとって何が必要なのか”客観的なNeedが重要となります。
患者さんとコミュニケーションを取り、しっかりとHOPEやデマンド、ニーズを設定していきましょうね。