関節可動域測定(ROM)は実習で必要不可欠な評価法の一つで、患者様への負担を減らし、効率よく短い時間で検査をできるようにするために、3つのポイントを抑える必要があります。
それでは関節可動域測定で患者様への負担を減らし、効率よく行う3つのポイントをご紹介します。
関節可動域測定は理学療法評価の中で基本となる検査法の一つですが、効率よく行わないと時間がかかってしまいます。
なかには関節可動域測定だけで評価時間が終わってしまうってこともあります。
いかに患者様への負担を減らし、効率よく検査するかがポイントです。
それでは下肢の関節可動域測定を効率よく行うポイントをご説明します。
どのように関節可動域測定をしてますか?
みなさんはどのように関節可動域測定(以下:ROM)を行っていますか。
教科書通りに行っていませんか。
教科書に載っている通りに行っている方は要注意です。
なぜだかわかりますか。
教科書には各関節ごとに評価の仕方が載っています。
例えば、股関節なら屈曲や伸展、外転・・・など、膝関節なら屈曲・伸展、足関節・・・というように、関節ごとに分かれています。
この順で評価を行ったら非効率なのはわかりますよね。
みなさんは、健側(非麻痺側)や患側(麻痺側)を分けて行っていますか。
分けて行っている方は測定に時間がかかっていると思います。
左右一緒に計測をすると時間を短く行うことができます。
それでは効率よく、負担の少ない関節可動域測定の方法をご説明しましょう。
関節可動域測定の順番とは?
ROMの体位は背臥位、側臥位、腹臥位、坐位といったように複数の体位があります。
まず検査項目が多い背臥位から行いましょう。
下肢のROMは背臥位である程度測定ができてしまうことや、患者様からしても検査していきなり側臥位や腹臥位といった姿勢になるよりいいでしょう。
まず股関節から測定をします。
測定には次の3つのポイントを抑えましょう。
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〜測定の3つのポイント〜
[icon image=”point2-1-b”]各関節を一緒に計測すべし
[icon image=”point2-2-b”]左右一緒に計測計測すべし
[icon image=”point2-3-b”]股関節伸展ROMは側臥位で計測すべし
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[icon image=”point-b-g”]各関節を一緒に測定すべし
一つ目のポイントは、各関節を一緒に検査を行います。
どうゆうことかというと、股関節も膝関節も一緒に測定をします。
たとえば股関節屈曲を計測する際に、膝関節も屈曲させますよね。
この時に一緒に膝関節屈曲も計測をしてしまいます。
このように同じ動作で違う関節を計測することができ、効率よく短時間で評価が行えます。
[icon image=”point-b-g”]左右一緒に測定するべし
二つ目のポイントは、左右一緒に検査を行います。
股関節内旋や外旋を計測する際に、下肢を持ち上げますよね。
ここで反対側の内転ROMも一緒に計測をしてしまうのです。
内・外旋の計測を行い、そのまま足を上げた状態で対側の内転を計測してしまうことで、反対側の下肢を計測する際の手間が一つ減らすことができます。
[icon image=”point-b-g”]股関節伸展は側臥位で測定すべし
三つ目のポイントは、股関節伸展ROMは腹臥位でなく、側臥位で検査を行います。
教科書には伸展ROMの計測法として、腹臥位でのやり方が載っています。
しかし高齢者で腹臥位が取れない方がいたり、身体機能的に腹臥位になるのが大変な方も多くいらっしゃいます。
また腹臥位で股関節伸展をすると下肢が重くエンドフィールまで行かないことがあり、エンドフィールを感じづらくなります。
側臥位で股関節伸展ROMを行うメリットの一つとして、オーバーテストも一緒に行えることです。
オーバーテストは大腿筋膜張筋の短縮の評価法です。
大腿筋膜張筋は股関節伸展制限の因子となるため、股関節伸展の可動域を計測しながら、制限因子を見つける作業も一緒にできるのです。
ちょっと難しい話かもしれませんが、ROMを計測しながら制限因子を見つけることは非常に重要な作業なのです。
評価前に一度、バイザーに相談してみてもいいかもしれませんね。
効率よく計測する方法とは
効率のよい関節可動域測定の順番をご紹介しましょう。
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〜効率のよい測定番〜
①股関節 屈曲
②膝関節 屈曲
③股関節 内外旋
④対側股関節内転
⑤股関節外転
⑥膝関節伸展
⑦足関節底屈・背屈
⑧股関節伸展(側臥位)
⑨反対側の計測へ
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この順で行うと手間が少なく、効率良く行えるでしょう。
股関節伸展を腹臥位で計測する場合は、左右の計測が終わった一番最後に計測するといいでしょう。
このように体位変換などをイメージし、実際に高齢者の方に対して評価を行っている想定をしながら練習をしましょう。
まとめ
関節可動域測定を効率よく、患者様への負担を少なくした状態で行う方法をご紹介しました。
関節可動域測定は実習でやる機会が多い評価の一つであり、時間がかかる評価でもあります。
学生のみなさんは、ただ関節可動域測定の練習をするのではなく、患者様への負担が少なくかつ効率よく短時間でできるように工夫しながら実技練習をしましょうね。