関節可動域測定で患者様の四肢を動かす際に、必ず注意すべき3つのポイントがあります。
これを知らないと患者様が不快な思いをし、信頼関係も築けません。
学生の方はこの3つのポイントを必ず知っておきましょう。
みなさんは、関節を動かす際にどのように動かしていますか。
学生同士の練習では健常者相手なので、同じ感覚で患者様の四肢を動かすと痛みが生じたり不快に感じる可能性大です。
それでは関節可動域測定で患者様が不快に思わないやり方をご紹介します。
関節可動域測定をこんな風に行ってませんか?
学生のみなさんはどんなふうに関節可動域測定(以下:ROM-T)の練習を行っていますか。
教科書をみて、基本軸や移動軸、参考可動域にばかり目がとらわれていませんか。
学生同士で練習し、問題なく行えたからOKとしていませんか。
基本的なことを覚え実践することは非常に重要なことです。
しかし、この基本的なことを覚えただけでは実際の実習や臨床ではうまくいきません。
なぜなら相手はヒトであり、患者様だからです。
学生同士で練習した方法で患者様に行うと、不快に感じたり痛みを生じる恐れがあります。
ROM-Tを行う際に必ず注意すべき3つのポイントをご説明します。
関節可動域測定で注意する三つのポイント
ROM-Tで注意することはたくさんありますが、その中でも四肢を動かす際の3つのポイントをご紹介します。
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〜3つのポイント〜
[icon image=”point2-1-b”]接地面を広くする
[icon image=”point2-2-b”]自動運動から行う
[icon image=”point2-3-b”]患者様の表情に注意する
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[icon image=”finger1-b”]接地面を広くする
一つ目のポイントは接地面を広くすることです。
接地面が広いのと狭いのでは、患者様の感じ方がまったく違い、さらに関節可動域の結果も大きく変わってしまいます。
みなさんも実際に体験してみるとわかると思います。
ヒトの腕を持ち上げるときに、手首だけ持って持ち上げるのと、自分の前腕を動かす腕の下に入れ接地面を広くした状態で動かすのでは、安定感が違い動かされる側も安心します。
特に整形疾患の手術直後の方は接地面を広くした方がいいです。
手術後はただでさえ関節を動かされるのが不安でことに加え、接地面が狭い状態で動かされるとさらに関節が不安定となり、防御性収縮が働いてしまいます。
防御性収縮が入ってしますと正しい関節可動域が計測できず、また痛みを生じてしまうこともあります。
関節を動かすときは接地面を広くし、関節を安定させ動かすように心がけましょう。
[icon image=”finger1-b”]自動運動から行う
二つ目は自動運動から行いましょう。
関節可動域測定を行う際に、なぜ自動運動から行うと思いますか。
学生の中にはいきなり他動運動でグッと関節を曲げようとするヒトがいますが、これは要注意です。
学生同士の練習では問題なくできたかもしれませんが、患者様に行ってしまうと痛みを生じることがあります。
例えば、変形膝関節症の方の膝を学生相手の感覚でグッと曲げてみるとどうなるでしょう。
きっと痛みが生じてしまうと思います。
股関節の手術直後の方の足をグッと曲げるとどうでしょう。
痛みが生じてしまうと思います。
不要な痛みを出してしまったり不快や不安感を与えてしまうと、良い信頼関係が築けないため細心の注意をはらいながら行いましょう。
関節可動域測定で重要なのは、必ず自動運動で一度動かしてもらい、どのくらい関節が動くのか予測することがポイントです。
予測をつけ、ゆっくりと関節を動かし測定するようにしましょう。
学生同士で練習するときも相手は患者様で関節は曲がらないものだと思い、イメージしながら練習をしてみてくださいね。
[icon image=”finger1-b”]患者様の表情に注意する
三つ目は患者様の表情に注意することです。
患者様の中には、痛いのを我慢する方もいらっしゃいます。
計測や評価に集中しすぎるあまりに患者様が見えなくなってしまう学生も大勢います。
測定中は必ず患者様の表情に注意し、痛み生じないように注意して行いましょう。
表情以外にも関節の抵抗感や逃避からも患者様の状態を感知し、気をつけながらROM-Tを行いましょう。
まとめ
今回は関節可動域測定で関節を動かす際の3つの注意点についてご紹介しました。
この3つは最低限おさえておくべきポイントです。
学生のみなさんは健常者で練習を行うときでも、この3つのポイントをしっかりとイメージ練習をしましょうね。
患者様の信頼度にも関わるため、しっかりとマスターしましょう。