浮腫(むくみ)と腫脹は似ていますが、実はまったく別物です。
今回は浮腫と腫脹の違いや鑑別するポイントをご紹介します。
浮腫と腫脹の違いをわかりますか。
同じ腫れに見えても原因は違い、治療内容も変わってきます。
それでは詳しくみていきましょう。
浮腫(むくみ)とは?
普段、浮腫やむくみという言葉を耳にすると思います。
浮腫がどのようなものなのかわかりますか。
カラダは常に血液を循環させ、細胞へ栄養などを送っていますよね。
細胞へ栄養などを供給しますが、不要となった水分は細胞の中からリンパ管や静脈を通って体内へ再び戻ってきます。
正常では水分が溜まることなくリンパ管や静脈へ流れますが、これがうまく流れず溜まってしまった状態が浮腫です。
浮腫の原因とは?
むくみの原因もさまざまあります。
普段よく聞くのが、立ち仕事などをしていて夕方になると足がむくむといった症状です。
これはカラダに異常があるのではなく、常に足が低い位置にあり、静脈の圧が高くなってしまったことが原因です。
この他にも、塩分の過剰摂取、水分の取りすぎ、血行不良、肝機能の障害、腎臓の障害などがあります。
腫脹とは?
腫脹は炎症症状の一つで、むくみとはまったくの別物です。
炎症の5徴候を覚えていますか。
〜炎症の5徴候〜
①腫脹
②発赤
③熱感
④疼痛
⑤機能障害
簡単に炎症のメカニズムとはについて説明します。
手術などによって組織に侵襲が起こると、ブラジキニンやヒスタミンといった物質が生じます。
この物質の働きによって、血管の透過性が亢進します。
血管の透過性が亢進することで血管の外に血漿が滲出します。
これが腫脹となり、症状でみられます。
このように浮腫と腫脹は似ているようで、まったく別物になります。
浮腫と腫脹の鑑別方法とは?
浮腫と腫脹の違いについては、わかったかと思います。
それでは鑑別方法についてご説明します。
浮腫の特徴として、むくんでいる部分を指で圧迫し手を話すと指のあとが残ります。
これに対し、腫脹は指で圧迫してもあとが残ったりはしません。
また炎症の徴候の一つであるため、同時に発赤や熱感などの症状もみられることがよくあります。
疾患の情報や上記の評価を統合して、浮腫なのか腫脹なのか鑑別してくださいね。
浮腫と腫脹で治療の違いは?
浮腫と腫脹はまったくの別物であるため、治療内容が変わります
循環障害が問題で浮腫が出現しているケースでは、運動を行い筋ポンプの働きを促します。
循環は筋ポンプの働きによって行われているため、この働きを促すことがポイントです。
しかし腫脹の場合はどうでしょうか。
腫張は炎症症状の一つであるため、運動負荷量に注意しないとさらに悪化する恐れがあります。
このように浮腫と腫脹でアプローチ方法も変わるため、しっかりと鑑別し、さらにそれが起きている原因を考えプログラムを立ましょう。
まとめ
今回は浮腫と腫脹の違いについてご紹介してきました。
浮腫と腫脹は原因が違い、またアプローチ方法も違います。
しっかり評価しアプローチを立案しましょうね。
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